自若 −師邸にて−
「いよいよ、だな。」
「そうですね。」
岩城が、渋い色合いの御召に、緑青の羽織を着て座っていた。
午後の日差しに、その顔を冴え冴えとさせて、師を見返した。
「やりにくいだろう、相手が彼では。」
そう言われて、岩城はふ、と口元で笑って見せた。
「いえ・・・それは当の昔に、二人で話してありましたから。」
「そうか。」
「当日は、同じホテルなんだろう?」
「ええ、そうです。」
廊下を行きながら、岩城はくすり、と笑った。
「部屋は、別に取ってありますが。」
苦笑を浮かべる師に、岩城は玄関先でゆったりと頭を下げた。
「それでは。」
「うむ。どっちが勝ってもおかしくはないと思う。が・・・。」
「はい。」
得心したように、岩城は頷いた。
終わり
・・・むふふv
弓
2007年11月23日
Thanks!
・・・なんだか、ひどく思わせぶりなお話ですね(笑)。映画の予告編でも観ている気分なので、勝手に続きを期待することにしますね。泰然とした岩城さんの和装に合わせて、オリジナル壁紙を作ってみました。弓さん、いつもありがとうございます♪
Uploaded 14 December 2007
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