潮騒 【007岩城さんシリーズ 第2弾】







これは、チキさんのへたれスパイもの、「Do ya think I'm sexy?」(香藤くん/表紙)の続編です。そちらを先に読んでね。








さっきから、岩城さんはずっと水平線を眺めてる。

あの後、人のこと喰っておいて、ほったらかし。

スパイって、そんなもんだよな、とは思うけどさ。

引き取った以上、責任とってくれって追いかけて、ここまで来ちゃった。

そしたら、開口一番、

「なにしに来た?」

それはないでしょ?





で・・・まぁ、それはいいんだけど。

なんでそういう格好してるわけ?

上半身、はだか。

パンツは、もうそれ以上おろせないってくらい、やばい。

周りの女や男を根こそぎ堕とそうって?

やめてよね。

って言いたいけど、岩城さんの顔はそんなこと言えないくらい、仕事モード。

もちろん、俺のことなんて、眼中にない。

「俺だって岩城さんのせいで、追われる身なんだけど、この人全然

わかってないよ。まったくもう。」

「・・・なんか言ったか?」

「うわっ、なんでもない。」

聞いてんじゃんか・・・。

「あのさ、」

「なんだ?」

「なに見てるの?」

岩城さんの横に並んで、沖を見た。

何も見えないんだけど。

横顔見たら、岩城さんの目だけが、「にやり」と笑った。

「この沖に、原潜が泊まってる。」

「・・・は?」

「原子力潜水艦、だ。」

「へ?」

呆れた顔して、岩城さんは俺を見た。

こういう顔すると、岩城さんて怖いんだ・・・。

「ドクター・ノオの原潜だ。」

「はい〜?あの人、まだ生きてたんだ?」

「馬鹿か、お前。それでもスパイなのか?」

「ごめん・・・。俺って下っ端だったし。」

溜息つかなくてもいいじゃん。

しかも、そんなしみじみ。

「それで、その原潜をどうするの?」

そう聞いたら、岩城さんの目が光った。

「そいつを沈めに行く。」

そ、そんなこと、何気に言わないでよ!

涼しい顔で・・・。

それに沈めるって、危ないし!

プルトニウム、積んでんだよ?

「い、いつ?」

「今夜だ。」







つづく





2008年2月9日
Thanks!
なんとボンド岩城さん、シリーズ化決定です(笑)。チキさんに触発され、さんざん弓さんを煽り、甘え、ねだりまくった甲斐があったというもの。究極のハードボイルドで、クールを通り越してS入ってる岩城さん(でもやっぱり受け)・・・いや、もう、ホントに堪りませんね。弓さん、ありがとうございました♪
Uploaded 18 February 2008


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