んあ?



夕食後の幸せなひととき・・・。

香藤はソファで、岩城の膝枕でまったりとしていた。

岩城は香藤の髪を、クルクルと指に絡ませながら本を読んでいた。

「こんなのだったら・・・美味そうだな。」

「へ?何が?」

「ハンバーガー。」

「ハンバーガー?」

「あぁ。今、テレビでやってる。ほら。」

香藤は、体の向きを変えてテレビへ視線を向けた。

最近はやりの自然派志向のバーガーショップ特集をやっていた。

野菜は無農薬野菜を使い、注文を受けてから作るというものだった。

「へぇ〜。でも岩城さん、あんまりファストフードって食べないよね?」

「そうだな。自分で好んでは買わなかったな。作り置いてあるようなイメージがあって あまりおいしそうに思えなかったからかな。」

ムクリと起きあがった香藤は、ふとあることを思いつく。

「そっか・・・。あっ!そうだ。じゃ、明日の朝作ってあげるよ。」

「そんなにすぐに作れるものなのか?」

香藤の突然の言葉に、驚いて聞き返した。

驚きの表情をしている岩城の頬に、香藤は微笑みながらキスをした。

「大丈夫だよ。野菜は、昨日『香藤農園』から届いた新鮮野菜があるしさ、パンも今から準備し ておけば、明日の朝には焼くだけで大丈夫だし。」

「本当に?でも、せっかくのオフに早起きするんじゃ・・・。」

「せっかくのオフだから、でしょ?それに、久しぶりに2人ともオフなんだからさ,張り切って 作るよ。岩城さんのために、ね。」

「そうか。それじゃ、楽しみにしてる。」

「うん!スペシャル・バーガー、楽しみにしててね。」

「あぁ。」

そして香藤は、もう一度岩城の膝へと寝転がり、 岩城はテレビのスイッチを消して、本を読み始めた。

もちろん、片手は香藤の頭に乗せて指に髪を絡ませるのだった。



―――翌朝。

香藤は、岩城よりもひと足早く起きて朝食の準備を始めた。

焼きたてのパンに具材を挟んでいき、スペシャル・バーガーを完成させていく。

「よしっ、完成!!うまそ〜。」

できあがったハンバーガーを、満足そうに見つめる香藤。

そして、まだ2階にいる岩城に声をかける。

「岩城さ〜ん!出来たよ〜!!スペシャルバーガー!!」

「・・・わかった、すぐ行くから。」

「了解〜。」

先にテーブルに座り、香藤は目の前のハンバーガーを手に取った。

「えへへ、完璧だ。愛情たっぷりってね。」

できの良さに、ニヤニヤと満足そうに笑みを浮かべる。

「はぁ、腹減ったな。・・・もう、岩城さん遅いな。先に一口だけ・・・。」

そうつぶやきながら、空腹に我慢が出来なくなっていた香藤は、 手にしていたハンバーガーを口元に持って行った瞬間、岩城の声がした。

「香藤・・・。」

「んあっ?」

―――パシャッ!

シャッターの音と同時に、フラッシュが光った。

「へ?」

「・・・ぷっ!おまえ、そんな大口開けて。」

「あぁ〜!?」

笑いながら、デジカメの液晶画面を確認した岩城は、 撮影された表情を見て、さらに吹き出した。

「(くっくっ)いい表情だ。ほら、見てみろ。」

岩城は液晶画面を、香藤に見せた。

「ひ、ひどいよ〜。岩城さん!」

「ひどくないだろ?それに、俺はちゃんと声をかけた。おまえと違って、な?」

そう言って、岩城は軽くウィンクをした。

「もう!こないだ、うたた寝してた岩城さんのことこっそり撮ったのまだ怒ってるの?」

「怒ってないさ。でも、これでおあいこだ。」

「うぅぅ〜。」

「さ〜てと、俺も待ち受け画面にしないとな。」

うたた寝していた岩城のことを、こっそり撮って携帯の待ち受けにしていたことが、 ばれてしまったのが数日前のこと。

黙って撮るなと、こっぴどく怒られた香藤だったが・・・。

まさかこんな『しかえし』があるなんて、と思った。

シュンとうなだれていた香藤の頭を、岩城はクシャクシャっとして微笑んだ。

「ほら、食べよう。スペシャル・バーガー。美味そうだな。」

岩城の言葉に、ガバッと顔を上げて自信満々に宣言した。

「当然だよっ!俺の愛情が、たぁ〜っぷり入ってるからね。」

「そうだな。じゃ、早く食べよう。」

「うん、そだね。いただきま〜す!」

そして2人は、愛情たっぷりの『スペシャル・バーガー』を食べた。

久しぶりに重なった、オフの始まりだった。







コユキ

Thanks!
コユキさんが、初めての二次創作SSに挑戦してくれました。それがまあ、こんなに可愛いくて一生懸命な香藤くんです(笑)。これじゃもう、岩城さんも愛しくてしょうがないですね。コユキさん、ありがとうございました。
Uploaded 7 January 2008


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